グレコのエレキギター、歴史や特徴、ジャパヴィンについて


初心者2

  • グレコってどんなメーカー?
  • ギターの特徴や評判は?
  • グレコのジャパンヴィンテージってどんなもの?
  • 現行ラインナップについても知りたい。


この記事では、上記の悩みや疑問を解決する内容になっています。

なぜなら、グレコの歴史やエレキギターの特徴、ジャパンヴィンテージと現行ラインナップについて調べたものをギター歴24年/音楽ブロガーの筆者リュウがこの記事にまとめたからです。

記事の前半で、グレコの歴史やギターの特徴、評価・評判について紹介し、後半でグレコのジャパンヴィンテージ、現行ラインナップを紹介しています。

この記事を読み終えると、日本にとってグレコというブランドの重要さが分かり、エレキギターの特徴や歴史ある名機の数々を知ることで、グレコ・ギターに興味が沸いて欲しくなること間違いなしです。

目次

グレコとは?

「グレコ(Greco)」は、楽器の総合商社である神田商会が1960年に立ち上げたギター/ベースブランドです。

日本のギターシーンを支えてきた老舗ブランドの一つで、現在ジャパンヴィンテージと言われ国内外で評価されているレスポールやストラトの高品質なコピーモデルやオリジナルモデルを多数産み出してきています。

品質においてもブランド発足当初はフジゲン、現在では日本製フェンダーの製造も担っているダイナ楽器(自社グループ)が製造しており、当時から国内生産で高品質なエレキギターを供給し続けています。(※廉価モデルはインドネシア製)

70~80年代にはプロ・アマを問わず最初に手にしたエレキギターの殆どがグレコだったというくらいのシェア率で一時代を築き上げたブランドです。

現在では入門用として人気のある国産でコスパの良い「WSシリーズ」や80年代に発表されブギーの愛称で親しまれた「BG」の現代版「BGW22/BGWT22」や低価格なビギナーモデルなどラインナップが充実しています。

シェア率や人気は当時ほどではないですが、国産エレキギターのトップ・ブランドとして高く支持されています。

神田商会について

神田商会は、老舗ブランドの「グレコ(Greco)」をはじめ、彫刻が施されたメタルフロントやパールフロントで有名な「ZEMAITIS」、 アール・デコ調で優美なルックスが特徴的な「D’Angelico(ディアンジェリコ)」、ペグで有名な「Grover」といった海外の有名ブランドを取扱っている楽器の総合商社です。

自社グループに楽器製造会社の「ダイナ楽器」を持ち、グレコのギターはもちろん旧フェンダージャパン(1997年~2015年3月)のギター製造を担っており、2015年4月から現在でもおそらく日本製フェンダーの製造を担っています。

半世紀以上にわたり日本の楽器産業を牽引する存在としてグローバルに事業を展開しています。

神田商会Twitter

お茶の水楽器センター

神田商会の自社ブランド「グレコ」や「ゼマイティス」のギター/ベース、代理店を務めている海外ギターブランドの「D’Angelico」や「Vigier」、「JRAD」のエフェクターやストラップなどのアクセサリー類など神田商会が取り扱うブランドの製品に特化した楽器のショー・ルームです。

ここに来ればグレコのギターが選びホーダイです!

御茶ノ水楽器センター
〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台1-8 タニグチビル1・2F
営業時間 平日 11:00 – 19:00(日曜/祝日 11:00 – 18:00まで)

グレコの歴史

グレコのエレキギターは1963年から生産が始まりましたが、当初は全然売れていませんでした。

グレコのエレキギターが本格的に売れはじめたのは70年代初め、日本のジミー・ペイジと言われていた「成毛滋」氏の教則本やソノシート(レコード盤に似た塩化ビニール製の録音盤)がグレコのエレキギターを買うと貰えるようになってからです。

それまで10%未満だった国内シェアが、数か月で70%にまで跳ね上がり無名から一気にトップ・ブランドになりました。

リュウ

これは70年代当時、現在のようにGibsonやFenderが容易に手に入るものではなく、そんな時代にグレコのレスポール・タイプ(EGシリーズ)やストラト・タイプ(SEシリーズ)といったコピーモデルがフジゲン製で低価格・高品質だったこともありますね。

それから、成毛滋氏がギタリストとして人気だったこともあるでしょう。

当時はギブソンやフェンダーのコピーモデルが主流で、そのコピー精度はどんどん高くなっていき、遂には本家ギブソンから特許侵害訴訟を起こされてしまうほどでした。

グレコはレスポール/ストラトのコピーの売れ行きは好調でしたが、ブランド力向上のためには荒井貿易の「PEシリーズ」のような世界に通用するオリジナル・モデルの存在が必要不可欠と考え、その開発に力を注ぐようになります。

そこから「GOシリーズ」や「MRシリーズ」、国産変形ギターの先駆け「Mシリーズ(ミラージュ)」(海外ではアイスマン)、「BGシリーズ」などが誕生したんですね。

リュウ

どれも名機として一定の人気があり、BGシリーズはUSAプロデュースされ現代のプレイヤーが求める要素を注入したモデルとして現行ラインナップされています。

当時のグレコはギブソンやフェンダーが買えない若者の憧れであり、現在還暦を迎えるプロミュージシャンを含め、プロ・アマ問わずみんなグレコのお世話になっていたんですね。日本のギターシーンにおいて欠かせない存在だったわけです。

グレコの特徴、評価・評判

当時製作されたレスポールやストラトのコピーモデルは、その作りの良さからジャパンヴィンテージとして国内外から高く評価されています。

中でも材質や工法も含め非常に精度の高いレスポールタイプEGFシリーズ「Super Real Model」は現在でもかなりの高値で取引されています。

品質も当初はフジゲン、後に自社グループのダイナ楽器が製造しており、どちらも歴史ある楽器製造メーカーで、ダイナ楽器は旧フェンダージャパン(’97年~’15年3月)とおそらく現在も日本製フェンダーの製造を行っており、その技術や経験は確かなものです。

現在のグレコのラインナップはエントリーモデルの「WISシリーズ」を除いて、すべて日本製となっています。

オリジナルモデルは現行ラインナップのBGシリーズのような扱いやすくオリジナリティーもあって完成度の高いものや、ストラト/テレキャスタイプでコスパの良い「WS/WSTシリーズ」があります。

少し前には「EWシリーズ」というPRS風のモデルも存在しており、どちらかというとギブソン寄りのモデルが多かったんですが、現在はフェンダーを元にデザインされたモデルがラインナップされています。

最近の動向としては他の老舗国産ブランドと同様に有名アーティストやインフルエンサーへの楽器紹介やYouTubeでの広告活動などは行っておらず目立った動きは見られません。

リュウ

ラインナップは現在のニーズに応えたものがしっかり用意されており、BGシリーズなんかすごく良いと思いますし品質も申し分ないと思うので、もっと売り出して頑張って欲しいと思います。

今後に期待したいですね。

ジャパンヴィンテージとしてのグレコ

ここでは、現在ジャパンヴィンテージとされているグレコのエレキギターを紹介していきます。

レスポールタイプ「EGシリーズ」

グレコのジャパンヴィンテージの中で特に人気が高く、低価格なのにそれに見合わないサウンドで本家を脅かす存在にまでなったレスポールのコピーモデル「EGシリーズ」。

EG-700までは成毛滋氏の意見が反映されておりナローネックやホロウ構造によって軽量化、EG-360はボルトオンネックだったりと本家レスポールと見た目は似ているけど仕様や構造は大きく違っていました。

それ以降のEG-800からは成毛氏の意見は取り入れられず本家に近い構造で、ネック材はメイプルが使用されています。それによって本家レスポールとは違う、少し硬めの独特なサウンドが特徴になっています。

本家ギブソン仕様「EGFシリーズ」

本家ギブソン・レスポールの仕様を究極に再現した「EGFシリーズ Super Real Model」。

マホガニーボディーにマホガニーネック、美しいフレイムメイプルトップ、ハカランダ/インディアンローズウッド指板、上位機種らしい高級感漂うスペックとなっているのが特徴です。

調べたところEGFシリーズには1800、1200、1000、850が用意されていたようでEGF850ではトップ材がラミネイトのフレイムメイプルになっていたりします。

シンプルにヴィンテージのレスポールを探している場合にもおすすめできるシリーズでしょう。

ストラトタイプ「SEシリーズ」

グレコのストラトキャスターのコピーモデル「SEシリーズ」。

SEシリーズには受注生産のSE-1200、1000、上位機種のSE-800、700、600、500、450、そしてビギナーズモデルのSE-380というのがラインナップされていたようです。

SEシリーズにおいてもブランドロゴの後にSuper Real」と入っているものはかなりの高値で取引されているようです。

種類が多くブランドロゴに後に「SUPER SOUND」「SPAKLE SOUNDS」など色々あって違いについて調べても詳しく分からなかったのですが、フジゲン製以外にも「マツモク製」の個体もあるようです。

基本的に、ボディ材にはジャパニーズアッシュとして知られる「セン」が使用されており、メイプルネックでメイプル/ローズウッド指板、SE-700まではラージヘッド、SE-800はスモールヘッドとなっています。

リュウ

上記動画では、GRECO SEにこだわりのカスタムを施して愛用している「J Official Guitar Channel」様のギターとなっています。良い音してますよね!

「GO」シリーズ

70年代にフェンダーやギブソンとは違う、スルーネックやアクティブサーキットといった構造を持って登場しジャズギタリストの渡辺香津美の使用で話題を呼んだ「Alembic(アレンビック)」や、同じ流れの構造で現在メタラー御用達となっている「B.C. Rich(B.C.リッチ)」が登場しました。

リュウ

スルーネックとは、ネックとボディをボルトなどでジョイントするのではなく、ネック材がヘッドからボディ・エンドまであり、その両端にウイング材というものを接着した構造のものです。

アクティブサーキットは、電池駆動のプリアンプを内蔵し、ボリュームやトーンコントロールの他にイコライザ(ハイ、ミドル、ベース)も調整できてブーストも可能なものです。

この構造をグレコ流にアレンジして出来たのが、この「GOシリーズ」です。

初代GOが登場したのは1977年、その後GOⅡ・GOⅢと進化を遂げ、GOⅢについてはゴダイゴの浅野孝巳氏が開発に深く携わり愛用されていたことでも有名です。

GOシリーズにはGO 700やGO 1400といった具合に価格帯別にグレードが分けられ種類も豊富でした。さらにGO 900には前期型と後期型とで仕様が異なっており、前期型はフラットトップ・ボディと24フレット仕様、後期型はアーチドトップ・ボディに22フレット仕様となっています。

ジャパンヴィンテージとして不動の人気を誇っている機種の一つです。

「M(ミラージュ)」

70年代中期にKISSやQUEEN、AEROSMITHといったハードロック・バンドが日本国内でも勢力を拡大している頃、そのハードロックブームに合わせたオリジナルモデルをと、上記のGOシリーズと同時期に神田商会、星野楽器、フジゲンの3社合同で開発されたのが、この「M(ミラージュ)シリーズ」です。

このモデルは、実はアイバニーズからも同形のものが発売されていて、そちらは「アイスマン」という名で海外に向けて発売されていました。

なぜかと言うと、当時KISSのポール・スタンレーがアイバニーズとギター開発の契約を結び、アイバニーズの既存モデル「2663」を元にシグネチャー・モデルが開発されると聞いた、当時、製造元が星野楽器と同じだった神田商会がその契約に乗じたためです。

星野楽器の既存モデルのシェイプと、GOシリーズで自社開発していたパーツを新モデルの開発で使ってもらう代わりに、国内ではグレコが「ミラージュ」として販売し、当時海外への販売がメインだったアイバニーズでは「アイスマン」として販売することに至ったようです。

世界に認められた日本発祥の変形ギターとして、現在でも一定の支持を得ています。

「MRシリーズ」

一見ギブソン・レスポールのようなシェイプとセットネックという構造ながら、ダブルカッタウェイとメイプルネック、24フレットといった仕様となっています。

2005年から2009年に掛けクイーンでボーカルを務めていたポール・ロジャースが過去に組んでいたバンド「バッド・カンパニー」のギタリスト「ミック・ラルフス」のオーダーから生まれたのが、「ミスター」の愛称で親しまれている「MRシリーズ」です。

当時のグレコを代表するオリジナルモデルとして国内外で高く評価されていました。

当時のラインナップは、「MR800」と上位機種の「MR1000」の2機種と、その後P-90タイプ・ピックアップ、22フレット仕様のエントリーモデル「MR600」が追加されています。

97年にはリイシュー・モデル「MR-1800」が再生産され、2012年に設計などが見直された「MRnシリーズ」が発表されました。

グレコの歴史を物語るオリジナルモデルですね。

ミントコレクションとは

’82年頃からグレコのギブソン系コピーモデルシリーズに付けられた名称です。

詳細な説明があまり出てこないのですが、これ以前のスーパーリアルシリーズのような完コピモデルではなく、あくまで造りを似せたモデルとのことです。

音などレスポールとは遠いもので、上位機種を除いて良い情報はあまり出てこないです。

GrecoのOの上が割れている、O切れや、シリアルナンバー無しというスペックは韓国製の可能性があるという情報もありました。

そんなに期待するほどのシリーズではないといった印象ですね。

グレコギターのラインナップ

グレコの現行ラインナップについて紹介していきます。

Bg.シリーズ 

グレコのオリジナルモデルとして1980年に発売され、当時のエレキギターブームにおいて一時代を築いた「ブギー(boogie)」Bg.シリーズ。

2013年に現代の技術を用いて演奏性などを向上させトータル112本のみの限定生産としてBG-1400、第2弾としてボディを約5%縮小させポップな印象にReデザインされたBG-800/1000、さらにボディに丸みを持たせコンター加工も施しストラトテイストの増したBG-CUSTOMが発表されてきました。

そして、2020年に米国プロデュースによってさらに進化し、現在に合った美しいフォルムを持って登場したのが「BGW22 SH/BGWT22」です。

BGW22 SH

「BGW22 SH」は、アルダーボディにローステッドメイプルネック、ミディアムスケールでコンター加工が施され演奏性が高いです。リアハムバッカーはコイルタップが可能でサウンドバリエーションも豊富です。

「BGW22 SH」には「トレブル・ブリード回路」というフェンダー・アメプロⅡシリーズにも採用されている回路を持っています。これは、ボリュームを絞ったときに高音域が失われないようになり、音が埋もれずはっきり聞き取れるようになります。

ロッキング・チューナー装備でチューニングの狂いも少なく弦交換もラク、国産で造りも良くリーズナブルな価格でとてもコスパが良いです。

・スペック

ボディ材 アルダー
ネック材 ローステッドメイプル
ネックジョイント ボルトオン
ナット幅 43mm
指板材 パーフェロー
ネックスケール ミディアムスケール
フレット 22フレット、ミディアムジャンボ
指板ラディアス 305R
コントロール 1ボリューム、1トーン、コイルタップ、3WAY
フィニッシュ グロス(艶あり)ポリウレタン

BGWT22

「BGWT22」はアッシュ・ボディでローステッドメイプルネック、ミディアムスケール、コンター加工が施され、「トレブル・ブリード回路」も採用されています。

テレキャスタースタイルのピックアップが装着されブリッジもTLスタイルとなっており、テレキャスターに寄せたデザインがとても好印象となっています。

こちらも国産で造りが良く10万円以下の価格で求めやすくコスパが良いです。

・スペック

ボディ材 アッシュ
ネック材 ローステッドメイプル
ネックジョイント ボルトオン
ナット幅 43mm
指板材 パーフェロー
ネックスケール ミディアムスケール
フレット 22フレット、ミディアムジャンボ
指板ラディアス 305R
コントロール 1ボリューム、1トーン、3WAY
フィニッシュ グロス(艶あり)ポリウレタン

WS-STD シリーズ

 

ストラト・テレキャスタイプのシリーズで、ナット幅が40mmと細いので手が小さくても演奏しやすく、ヒールカットによりハイポジションも弾きやすく、ピックアップ配列もSSS,SSH,TLスタイルなど種類も豊富です。

23種類のカラーバリエーションが用意され指板材もローズウッド/メイプルが選べます。

クセがなく扱いやすいバスウッドボディで安心の国内生産だから造りも良いです。リーズナブルな価格で求めやすく入門用やサブギターなどにおすすめのシリーズです。

WISシリーズ

WSシリーズのスペックを継承し、ボディ材にマホガニーの代替品であるナトー材、ローズウッドの替わりにメルバウという材を使用し、インドネシア生産にすることでコストダウンを計ったシリーズです。

品質や造りは価格に見合ったものになりますが、手が小さくても弾きやすい40mmのナローネックが採用されているので、価格を抑えつつ手の大きさに不安のある初心者の方などにおすすめです。

まとめ

当時のグレコはギブソンやフェンダーが買えない若者の憧れであり、現在ジャパンヴィンテージとされているものは殆どフジゲン製です。30~40年経った現在でも十分使えますし価格も安いので狙い目です。その良さが動画などから拡散してグレコが復活したら面白いですね。



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