- セミホロウ(セミアコ)ってどんなもの?
- どんな音がするの?
- ソリッド/セミアコ/フルアコの違いって?
この記事では上記の悩みや疑問を解決する内容になっています。
なぜなら、当ブログ管理人エレキギター歴23年のリュウが「セミホロウ(セミアコ)」の特徴を、他のフルアコやソリッド・ギターと比較し、それぞれの特徴を分かりやすく説明しているからです。
記事の前半で、セミホロウ(セミアコ)とはどう言ったものなのかを説明し、後半ではセミアコ/フルアコ/ソリッド、各ボディータイプの構造の違いを比較していきます。
この記事を読み終えると、セミアコがどんなエレキギターなのか理解できるようになります。
セミホロウって何?
セミホロウとは、「セミホロウ・ボディ」や「セミアコ(セミアコースティック・ギター)」と呼ばれています。
セミアコの代表モデル「Gibson ES-335」の構造を例にすると、ボディの中心部に「センターブロック」と呼ばれる木材がはめ込まれています。ボディの中心で分断される形となって、その両サイドが空洞になっています。ボディに空洞のある構造のものを言います。
ボディが完全に空洞のエレキギターはフルアコ(フルアコースティック・ギター)と呼ばれ、ホロウ・ボディとも言われています。
空洞のないエレキギターは「ソリッド・ギター」と言います。ストラトキャスターやテレキャスター 、レスポールなどの一番馴染みのある、普通のエレキギターのことですね。
セミアコは、ソリッドとフルアコの中間的存在のエレキギターと思って大丈夫です。
セミホロウ・ボディの作り方は2種類あって、「Gibson ES-335」のように板を貼り合わせて作るものと、ボディ材をくり抜いて空洞を作るものがあり、代表例は「テレキャスター ・シンライン」ですね。
※この記事では、違いを分かりやすくするためシンラインタイプの説明は省きます。
名称 | 構造 | 製造工程 | 代表モデル |
セミホロウ
セミアコ セミホロウ・ボディ セミアコースティック・ギター |
ボディの中心部に「センターブロック」両サイドが空洞 | 板を貼り合わせ、中心部に木材をはめ込む。
ボディ材をくり抜いて空洞部分を設ける。 |
Gibson ES-335
Fender Telecaster Thinlineなど |
フルアコ
ホロウ・ボディ フルアコースティック・ギター |
完全に空洞 | 板を張り合わせる | Gibson ES-175
Gretsch G6136 White Falcon |
ソリッド・ボディ
ソリッド・ギター |
空洞部分は無し | 木材を加工する
ピックアップなどの電装部品用のザグリ程度 |
Fender Stratocaster
Fender Telecaster Gibson Les Paul |
音の特徴
ボディーに空洞があることで独特のエアー感のあるサウンドが特徴です。ソリッド・ボディのギターでは絶対出せない音です。どんなジャンルでも使えますが、ロック、ブルース、ジャズ、フュージョン、ファンク等に愛用者が多いです。
クリーン〜クランチサウンドで特に存在感を発揮するエレキギターです。クッと来る感じがなんとも言えません。歪ませてもOKで独特のサウンドになりますが、セミアコはハウリングしやすいので,ヘヴィ系などにはあまり相性が良くありません。
※ハウリングとは、アンプとギターが共鳴した時に「ヒュワ〜〜」と出る音のことです。意図して出す奏法(フィードバック奏法)もありますが、意図せずに出てしまうと演奏の邪魔になってしまいます。
セミアコやフルアコの空洞ボディのエレキギターはハウリングが起きやすいというデメリットがあります。
代表モデル「Gibson ES-335」
セミアコの代表モデルと言えば、ギブソン社が1958年に発表した「ES-335」です。
このモデルが出るまではセミアコースティック・ギターというのはありませんでした。現在でも人気があり、他メーカーからコピーモデルや発展型のモデルが多く出されています。ギタリストなら一度は手にして弾いておきたいギターです。
もう一つの王道モデルと言っても過言ではありません。
ちなみに「ES」は「エレクトリック・スパニッシュ(横に構えるギター)を意味しています。
フルアコやソリッド・ボディとの違い
セミアコ/フルアコ/ソリッドの構造や使われるパーツについての違いを比較していきます。
ソリッドギターの特徴
ストラト、テレキャス、レスポールのような誰もが知っているエレキギターは、ボディに空洞が無い構造のギターを「ソリッド・ボディ」や「ソリッド・ギター」と言います。
使用されるパーツや木材、デザインのバリエーションが一番多いタイプです。このことから様々なジャンルの音楽に対応可能で、演奏性の良さも含めどんなエフェクターでも使用できる、最も柔軟性に優れたタイプです。
デメリットとしては重量のある個体・モデルがあることです。重量がある分、サウンドに迫力が出ますが身体への負担が大きい場合があります。
フルアコの特徴
「フルアコ(フルアコースティック・ギター)」はボディ内部が完全に空洞になっているエレキギターです。フルアコは別名「ジャズ・ギター」と呼ばれており、その名の通りジャズで使われることがほとんどです。
使用される木材は、ボディトップにスプルース、ボディサイド/バックとネック材にメイプル、指板材にエボニー、というのが基本的な木材構成になっています。使用されるパーツの種類、特にテールピースは「ブランコテール」というパーツでほぼ決まっています。
フルアコは薄い板を貼り合わせているだけなので、ブリッジをボディに固定できません。この理由からブリッジは弦の張力で留まっているだけです。このことからフルアコはチョーキングプレイには向いていません。チョーキングするとブリッジが動いてしまいチューニングが狂ってしまうためです。
ハウリングもしやすいので歪みサウンドにも向いていません(フルアコはアンプとギターの共鳴によるノイズが特に出やすい)。
セミアコの特徴
記事の前半でも紹介しましたが、セミアコのボディは「センターブロック」により中心部がソリッドになっており、その両サイドが空洞になっています。センターブロックのお陰でソリッド・ギターのようにブリッジの固定が可能になり、ホロウ構造によるエアー感も同時に得られるようになっています。
ブリッジが固定されることでチョーキングプレイも問題なくこなせるようになっており、フルアコに比べてハウリングにも強くなっています。ボディ厚もソリッド・ギターと同じくらいなので演奏性も向上しており、まさにソリッドとフルアコの中間的存在ですね。
音の違い
各ボディータイプの音の違いや特徴について比較していきます。
ソリッド・ギターの音
クリーントーンは煌びやかでコードやアルペジオがクリアーに響き、カッティングもチャキチャキッと決まります。トーンコントロールを絞って甘めのサウンドにすればジャジーなプレイにも対応できます。歪みサウンドとも相性が良くヘヴィ系ジャンルでも使えます。
どんなジャンルでも対応出来て、色んなエフェクターとも相性が良い、オールマイティーに使えるのがソリッド・ギターの音の特徴です。
フルアコの音
空洞によるエアー感と太い音、低音も良く出ていて存在感があるクリーントーンが特徴的です。トーンを絞ることでさらに雰囲気のある、大人向けのサウンドにもなりますよ。ジャズを弾くならやっぱりフルアコです。
ハウリングしやすいので歪みサウンドとは相性が悪く、歪ませたとしてもクランチサウンドくらいまでにした方が良いです。
セミアコの音
エアー感のある甘いサウンドとクッとした独特なサウンドです。弱く弾くとクリーン、強く弾くとドライブサウンドになるクランチサウンドで弾くと表現力が最強になります。ロック、ファンク、ジャズ、フュージョンなど幅広いジャンルに対応出来ます。
やっぱり空洞のあるボディなのでハウリングしやすいです。歪ませすぎないよう注意しましょう。
構造の違い
ソリッド/セミアコ/フルアコ、其々ボディタイプ別に構造や使用される木材の違いを比較していきます。
ソリッド | セミアコ | フルアコ | |
ボディ材 | アルダー、アッシュ、マホガニー、メイプル、バスウッド等 | メイプル、マホガニー | ボディトップにスプルース、ボディサイド/バックにメイプル |
ネック材 | メイプル、マホガニー | マホガニー | メイプル |
指板材 | メイプル、ローズウッド、エボニーなど | エボニー | ローズウッド、エボニー |
ボディの作り方 | 木材を切削する | 板を張り合わせる。
ボディをくり抜く。 |
板を張り合わせる。 |
ボディ内部 | 空洞は無い | 中心部はソリッド、両サイドが空洞 | 完全に空洞 |
カッタウェイ | シングル、ダブル | シングル、ダブル | シングル、なし |
ブリッジ | トレモロ、テールピース& TOM、フロイドローズ、裏通しなど | テールピース& TOM、トレモロ | ブランコテール |
カッタウェイについて
エレキギターのボディには、ネックとボディの接合部分に「カッタウェイ」というU型に切削された部分があります。ハイポジションを弾きやすくするためのもので、片側のみだと「シングルカッタウェイ」両側のものは「ダブルカッタウェイ」と言います。
ダブルカッタウェイの方がハイポジションが弾きやすいですが、シングルカッタウェイより剛性が多少弱くなります。ソリッド、セミアコには両タイプあり、フルアコはシングル、もしくはカッタウェイ無しが多いです。
デザインの違い
ソリッド | セミアコ | フルアコ | |
ボディトップ | フラットトップ、アーチトップ | フラットトップ、アーチトップ | アーチトップ |
ボディ形状のバリエーション | どんな形状にもできる | ほぼ同じ | ほぼ同じ |
ボディトップについて
ボディの形状の一つに、「平らな作りなのか、曲線を描いているのか」という違いがあります。
これをボディトップと言い、平らな形状を「フラットトップ」曲線のあるものを「アーチトップ」と言います。ソリッド、セミアコには両方のボディトップがあります。フルアコはアーチトップのみになっています。
ボディ形状について
ソリッドボディはボディに空洞を作る必要がないので、どんな形にでも出来ます。フライングVのような変形ギターがあることからも分かるように、その自由度は限りなく高いです。
その一方、セミアコやフルアコというのは代表モデルの形状や構造を元に、ボディーを少し小型にしたりする程度で、ほぼ同じです。
セミアコはソリッドとフルアコの中間的存在!
ここまで読んでもらって違いが分かったかな? 色んなジャンルに対応できるけど歪みサウンドとの相性はそこそこ、そしてハウリングが起きやすいことなどがセミアコの基本情報です。ギタリストなら一度は手にしておこう!
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